予選会に破れても笑顔。慶応大が箱根駅伝の出場まで「7分近づいた」 (3ページ目)

  • 酒井政人●文 text by Sakai Masato
  • 写真●松尾/アフロスポーツ photo by Matsuo/Aflo Sport

「基本ができていない選手が多かったので、基礎作りをするのにかなり時間がかかりました。練習よりも、まずは競技に対する姿勢ですね。夏合宿の朝練習は集合もなかったですから」と保科コーチ。夏には4週間の北海道合宿を行なうなど、選手たちに基礎をみっちりと指導した。トレーニングの質は「日体大時代の6割ほど」しかできていないが、チームの雰囲気は変わり始めたという。

 そのなかで3年生の根岸が急成長した。前回の予選会は個人総合219位(63分35秒)だったが、今季は1万mで29分台に突入。予選会は60分台でフィニッシュして、個人総合76位に食い込んだ。関東学連チームで出走することになれば、慶應大の選手としては、第82回大会(2006年)以来の箱根駅伝出場となる。

 駅伝チームとしての形はできつつあるが、箱根を"本気で"狙うには大きな壁が存在する。それは「選手勧誘」だ。今では強豪校の多くが10人前後のスポーツ推薦枠を持っており、なかには奨学金を駆使して有力選手をかき集めている大学もある。しかし、慶應大にはスポーツ推薦枠すらないのだ。

「慶應大で陸上をやるには受験をパスしてもらわないといけないので、有力選手に受験をお願いしている状態です。主に指定校推薦とAO入試ですね。スポーツ推薦のようにほぼ100%合格するというものではありません。それだけに、『どうしても慶應大で走りたい!』という気持ちを持った学生が集まってくれるんじゃないかなと期待しています」(保科コーチ)

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