予選会に破れても笑顔。慶応大が箱根駅伝の出場まで「7分近づいた」 (2ページ目)

  • 酒井政人●文 text by Sakai Masato
  • 写真●松尾/アフロスポーツ photo by Matsuo/Aflo Sport

 選手たちが騒いでいる様子を見て、「なんか嬉しそうですね」と保科コーチに声をかけると、「よくわかんないです」と苦笑いを見せた。新体制1年目の今回は、総合27位(合計タイム10時間42分42秒)。ボーダーラインまで32分08秒もの開きがあったが、合計タイムでは大学記録を更新した。それでも保科コーチは、「僕が立てた目標が高かったこともありますが、うまく走らせてあげることができませんでした」と悔しそうに話した。

 今回の目標タイムは「10時間36分」。3年生の根岸祐太はフリーで走り、6人は1km3分10秒ペース、5人は1km3分15秒ペースで15kmまで集団走を予定していたが、うまくいかなかった。根岸は60分58秒と健闘したものの、他は3人が63分台、2人が64分台、4人が65分台と伸び悩んだ。しかし、昨年はボーダーラインまで39分10秒差だったことを考えると、箱根まで約7分も"接近"したことになる。

 慶應大は箱根駅伝の第1回大会に出場した4校のひとつで、第13回大会では総合優勝を果たしている。第47回大会までに26回出場し、その後は、記念大会で出場枠が増えた第50回、第60回、第70回大会に出場。しかし近年は、本格強化する大学が増えたこともあってボーダーラインから引き離され、この5年間は予選会の「30位前後」が定位置だった。

 チームに5000mで14分台の記録を持つ者は数人しかおらず、大半は15分台。しかも、そのほとんどが系列校を含む進学校の出身だ。長らくフルタイムのコーチが不在だったところに、強豪校出身の保科コーチが就任したことで、最初はうまくフィットしなかった。

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