東海大の駅伝を支える「スーパー2年生」に新たなスター候補が現れた (5ページ目)

  • 佐藤 俊●文・写真 text by Sato Shun photo by Nikkansports/AFLO

 この日は3000mSCに三上嵩斗(しゅうと/3年)が出場するのだが、試合を終えた後、会場からそのまま自宅に帰るのだという。日本インカレに出場した選手は、この後数日間、オフになる。他の選手はお盆時期がオフになったが、彼らは休みなく1カ月、合宿を継続してきた。すぐに出雲駅伝がやってくるが、その前に一度心身ともにリフレッシュし、出雲駅伝に向けて調整していくことになる。

 3000mSCには塩尻和也(順天堂大・3年)が出場する。この種目の第一人者であり、昨年はリオ五輪にも出場した。塩尻の自己ベストは8分39秒89、三上は8分44秒34だ。昨年は9秒差をつけられたが、今年はどこまで差を縮められるのか。

 14時30分、スタートした。

 序盤は先頭の塩尻にピタリとついていった。しかし、1200mを超えると差が開き始める。1000mから2000mまでは2分53秒。このままのペースでいくと大会記録の8分33秒を突破する。塩尻との差はさらに広がり、三上は2、3位争いを繰り広げる。

 ラスト1周の鐘が鳴った。この時点での塩尻のタイムは7分22秒、大会記録更新は可能なタイムだ。

 だが、思ったほどラストスパートが伸びず、8分34秒で大会記録更新を逃した。三上は歯を食いしばって懸命のラストスパートを見せた。なんとか2位を死守し、8分45秒でフィニッシュ。しかし、塩尻との差は昨年よりも広がってしまった......。

「相手は(8月に台湾で行なわれた)ユニバーシアードに出て、この大会で1万mを走り、3000mSCの予選、決勝と試合続きだったのに10秒の差をつけられてしまった。ハードルとか水濠では問題がなかったんで、単純に5000mとか1万mの走力の差が出たかなって感じです。監督には『昨年の9秒差を踏まえての今年の結果だぞ』と言われて、そこを意識してやってきたんですが、オリンピアンとの差はまだありますね。でも、このまま来年4連覇されるのは癪(しゃく)なんで、1年間頑張って来年は優勝したいです」

 強気な性格が言葉ににじむ。塩尻には敗れたが、手応えがなかったわけではない。ラスト150mからのスパートは、スピードがグングンとのって、これが2番手争いを制した要因になった。

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