【東海大・駅伝戦記】日本インカレにみる「スーパー世代」2年生の明暗 (3ページ目)

  • 佐藤 俊●文・写真 text by Sato Shun photo by Nikkansports/AFLO

 舟津がそのまま走り切り、1位でフィニッシュした。

 6位(4分01秒97)に終わった館澤はそのまま倒れ込み、トラックに両膝をついて頭を抱え込んでいた。係員に促され、ようやく立ち上がると魂を抜かれたようにフラフラとミックスゾーンに流れてきた。

「最悪のレースをしてしまいました」

 うつろな表情で館澤はそう言った。

 スローペースだったが抜け出すタイミングはいくつかあったはずだ。しかし、躊躇(ちゅうちょ)したのか、それとも体が動かないのか、館澤は勝負に出る前に敗れた。

「予選での走りの時、体が動かなくて今までと明らかに違うなっていうのを感じてしまったんです。決勝ではそんなことを考えないようにしたんですが、心の中で勝てないんじゃないかという思いがよぎり、弱気になり、最後の1周の攻めるべきところで攻めあぐねてしまった。行かないといけないと思ったんですが、気持ちで負けてしまっていたかなと。本当に反省しか残らないレースになってしまいました」

 うつむき、ひたすら反省の弁を述べる。

 夏合宿・白樺湖3次合宿では、この日本インカレに合わせて調整していた。強度の高いポイント練習をしっかりこなし、筋トレにも励み、極めて順調だった。今年は1500mを勝ち続け、追われる者としてのプレッシャーがあったかもしれないが、それ以上に大きな自信を得ていた。それだけに館澤の失速は、彼自身はもちろん、チームにとっても大きな衝撃だった。

 西出コーチが言う。

「日本インカレに合わせてきたけど、予選で今までラストで負けたことがないのに負けてしまった。それでダメだと思ってしまい、自信を持って決勝に挑めなかった。スローペースになって不安が出てしまったのもあるけど、メンタルが大きいですね」

3 / 6

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る