【月報・青学陸上部】出雲駅伝エントリー発表。レースを走るのは誰か? (3ページ目)

  • 佐藤 俊●文・写真 text & photo by Sato Shun


 合宿も含めて、与えられたメニューを人の後ろについていくだけでは"練習をこなしている"だけになってしまう。それでは練習を自信や成長につなげられない。結果、タイムも上がらないし、レースに勝つのも難しくなる。結局、「自分はこれだけやってきたのに......」とダメだった時の言い訳にしてしまい、やってきた練習に対しても自分に対しても自信を失ってしまう。

 たとえば30kmの距離走で設定タイム内に走ることだけを目指す選手と、本番を想定してkmごとに自分でタイムを考えて走る選手とでは当然、その後の成長に差が出てくる。そうしたちょっとした意識の差が大きく、そこに選手が気づくかどうかなのだが、おそらくは合宿で"練習をこなす"ことに満足してしまった選手が多いのではないだろうか。

 いずれも一朝一夕に解決できるものではなく、本格的な駅伝シーズンに向けてチームは小さくない不安を抱えこんでしまった。

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 日本インカレは3人にとって、単なる1レースではない。

 今回のレースは、出雲駅伝のメンバーが固まりつつある中、3人による学内選考の追試となる。最後の椅子を1年生の神林、吉田、そしてキャプテンの吉永の3人で争うのだ。

 スタートから2000mまでは3人とも中間から前に位置し、悪くはなかった。だが、そこから吉永がまず遅れ始めた。周囲のスピードについていけず、粘ってついていくレース展開にならなかった。吉田は留学生たちの先頭グループに入り、7番手あたりについていた。残り1600mぐらいから吉田のピッチが落ち始め、神林との差が詰まる。神林が汗を飛ばし、懸命に吉田を追うが、ラスト1周で逆に吉田が差を広げた。そのまま2人の順位は変わらず、フィニッシュした。

 吉田はスピードに対応した粘りの走りを見せ、14分00秒85で9位。神林は14分07秒77で12位とタイム的には平凡だったが、とりあえず追試に合格し、部内での競争に生き残った。 

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