東海大の夏合宿。「駅伝のスパートが変わる」高地トレーニングに密着 (5ページ目)

  • 佐藤 俊●文・写真 text & photo by Sato Shun


「世界で勝つためには高地トレーニングしかないんです」

 両角監督がそう語るように、高地しかないのだ。

 東海大は昨年と異なり、8月のほぼ丸1カ月間、高地で連続した合宿を実践した。低酸素、低気圧での生活を徹底させるべく、合宿に低酸素テントを持ち込み、今回の3次合宿では館澤ら4名の選手がそのテントの中で睡眠をとっていた。その間、動脈酸素飽和度を測る。こうした取り組みによって駅伝シーズン、選手がラストスパートを含めどんな走りを見せてくれるのか、非常に興味深い。

宿泊地に持ち込んだ低酸素テント。睡眠中もトレーニングなのだ宿泊地に持ち込んだ低酸素テント。睡眠中もトレーニングなのだ トラックでは2組の選手が5本目の3000mを走っている。1周ごとに先頭が変わるが、4年生の春日と川端千都(かずと)の力強い走りが目を引く。今回の合宿で4年生は彼らを含め4名しか参加していない。昨年の箱根駅伝では復路で3、4年生が盛り返し、なんとかシード権(10位)を維持できた。「4年生が引っ張らないとチームは勝てない」と両角監督は語るが、2人の走りを見て少しは安心したのではないだろうか。今後も故障さえなければ、彼らが中心になってチームを引っ張っていくだろう。

 先に練習を終えた日本インカレ組は1人用の簡易バスの水風呂に入ってクールダウンしている。簡易バスは空気を入れればどこでも使用できるし、意外としっかりしているので重宝しているという。そこに10分間ほど浸かるのだが日が落ちてくると、かなり寒い。待っていた1年生トリオの順番になり、バスに浸かると「つめたぁー」と悲鳴があがる。早く上がらないように両角監督が監視しつつ、世間話に時間を費やす。全員がクールダウンを終える頃には日が暮れて、真っ暗になっていた。

 車のライトを照明代わりにして集合する。

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