神野大地が世界陸上視察で悟った「マラソンで外国選手に勝つ走り方」 (4ページ目)

  • 佐藤 俊●文・写真 text & photo by Sato Shun


 世界で勝つためには、自分がいかに主導権を握って、海外の選手を揺さぶって振り落していくレースができるか。ロンドンに行って、それが改めて重要だと思ったし、そういうレースができるように中野さんとトレーニングをしている自分の方向性は間違っていないと確信しました」

 ロンドンでマラソンを見て、もうひとつハッキリしたことがあったという。

「持ちタイムは最終的に関係ないということです。ロンドンでタイムの速い選手が勝ったかというとそうじゃない。実際、日本人もタイムがいい井上(大仁/MHPS・26位)さんよりも川内さんの方が順位はよかった。ロンドンのコースは曲がり角が多く、アップダウンが激しく、道も狭かった。そういうタフなコースで結果を出さないといけない。世界大会で勝つのはタイムじゃなく、暑い中でどんなところでも走れるメンタルの強さとタフなレース経験が必要だなと思いました」

 マラソンを続け、勝つために大事なことを神野はロンドンで確認した。3日間の短い滞在だったが、世界のレースを生で見て、感じて得たものはとても大きかった。

 ロンドンから帰国後、コニカミノルタの夏合宿に参加した。網走のホテルで3週間、缶詰め状態でひたすら練習、かなり走り込んだ。網走はホクレンの陸上大会が催されるなど陸上熱が高い。最近は網走や北見、紋別などで合宿する実業団や大学が増えたが、コニカミノルタは網走の環境のよさを評価し、何十年も前から合宿してきた先駆け的な存在だ。

 合宿の1日は早朝練習から始まる。朝5時55分に近所の広場に集合して、各自ジョグをする。基本的に午前、午後の2部練習となる。それぞれ狙いや種目の違いもあり、大学のように大きなグループで練習することはあまりない。終わるとクールダウンして、夕食だ。走るためだけの単調な日々が過ぎていくのだが、何か愉しみはあるのだろうか。

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