神野大地が世界陸上視察で悟った「マラソンで外国選手に勝つ走り方」 (3ページ目)

  • 佐藤 俊●文・写真 text & photo by Sato Shun


 42.195kmを走った時、当初は5km18分、あとは17分30秒でいけるところまでいく予定だった。しかし、最初の5kmが17分50秒、残りは17分30秒を切るペースで走り、2時間25分3秒で走り切った。

「4月からやってきたことが間違っていなかったと思いましたね。今後は1km3分のペースで最後まで保つようにできればいい」

 42.195kmを経て70kmを走り切り、段階を踏んで生まれた結果は神野のトレーニングに対する信頼と自信をより膨らませた。そしてこの夏、他にも大きな収穫があった。

 8月上旬、世界陸上選手権を視察するために神野はロンドンに飛んだ。現地では男子マラソン、高校時代の同級生である清田真央(スズキ浜松AC)が出場する女子マラソン、100mなど見たという。そこで神野が得たのは、自分が目指すべきスタイルの確信だった。

「今の日本人選手は海外の選手にどこまでついていけるのか、何kmまで揺さぶりに耐えていけるかという戦いになっていると思うんです。それではメダルは無理。今回、清田(16位)の走りがまさにそうでしたよね。海外選手の揺さぶりには対応していたし、3周目の時は第2集団の先頭で通過したんです。その時、後ろに下がらずに前に出て相手を振るい落とす走りができたら入賞できたと思うし、メダルも可能だった。でも、主導権を握る気がなかった。清田は『メダルが目標』と言っていたけど、メダルを狙う走りじゃなかったんです。

(男子マラソンの)川内(優輝/埼玉県庁)さんは9位でしたけど、もともと主導権を握る走りではなく、どこまで粘れるかという走りなので、それだと入賞は狙えてもメダルには届かないと思うんです。

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