川内、中本、井上の3人は「何を考えて世界陸上マラソンを走ったか」 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Nakamura Hiroyuki/PICSPORT

 日本勢はというと、序盤は大集団の中で後方に位置する中本健太郎(安川電機)をマークするように走っていた川内は、転倒するアクシデントもあり、中間地点では9秒だった先頭との差が、25km通過では1分04秒にまで開けられて20位という状況になった。

「途中で遅れて自分の実力不足を露呈してしまったけれど、沿道から『17位』と声をかけられたので、17位や18位はもう嫌だと思って(世界選手権は11年17位、13年18位)。ひとつでも上がろうと思って前に見えていた選手を追いかけて抜いたら、また前が見えてという形でうまく拾っていけました。遅れてしまった時点で、入賞はきつくても10番は必ずあると思っていました。これまでの海外のレースで10何番に落ちながらも、6番とか7番になった経験は何回もしていたので。気温も上がってきていたので、粘れば絶対に前は落ちてくると思っていました」

 川内はこの大会へ向けて準備を怠らなかった。コースの下見も年末年始に自費で行ない、コースの注意点もしっかり頭の中に叩き込んでいた。また苦手な暑さ対策としても、給水をしてくれる陸連のスタッフに水はしっかり冷やすように頼み、首筋や腕など、かけ水をして体温の上昇を抑えた。スペシャルドリンクもいつもの量からもう一口余分に摂取するなど、必要だと思うことはすべてやったという。

 そんな効果もあって、30kmからのペースを15分55秒、15分58秒と15分台に持ち直すと、35kmで13位、40kmで10位と順位を上げた。ラスト2.195kmもトラを振り切って、全選手中トップの6分41秒で走り9位でゴールした。ゴールタイムの2時間12分19秒は、7位との差を12秒にまで詰めるものだった。

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