サニブラウン、世界陸上100m決勝進出へ「絶好のチャンス」だった (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Nakamura Hiroyuki/PICSPORT

 世界陸上初出場だった2015年大会でも、怖いもの知らずの飄々(ひょうひょう)とした走りで、準決勝進出を果たしていたサニブラウン。2年前よりも余裕のある走りでの1位通過は、大きな可能性を感じさせた。

 準決勝の組み合わせも、サニブラウンの運の強さを示すものだった。予選で下したブレイクと再び同走となり、他の選手で調子のよさを見せていたのは、予選をシーズンベストの10秒03で1位通過していた蘇炳添(中国)と、自己ベストの10秒03を出していたレッセ・テレスコ(イギリス)くらい。サニブラウンにとって、チャンスは大きいと思われた。

 だが、その準決勝第2組は思わぬ結末が待っていた。第2組で走ったサニブラウン。

「準決勝もいける気しかしていなかった。予選を走って体がきれいに動いていてベストタイムでも走れたので、これは本当に決勝へいける。下手をしたらメダルまで狙えるんじゃないかと思っていたという。ところが、スタートすると3~4歩目で躓(つまず)いて減速してしまった。

「盛大にやらかしてしまいましたね。予選のスタートは反応がよかったんですが、背中が膨れ上がってから足が動いていたので、それをコーチと修正しようと話していて。(準決勝は)おそらく上体はいい角度になったけど、それに足がついてこなかったのだと思います。そこで足がついてきたら、そのままどんどんいけたと思う。予選の時も右足が若干流れていたけれど、そこを引きずったのかなという気がします。あの瞬間はアーッと思いながらも、頑張って足を前に運ぼうとしたんですが、気持ちが切れてしまった部分もあったと思います」

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