フィジカルをハードに改造中。
神野大地の走りは「山の神」時代と違う

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun
  • photo by AFLO


「この気温で、しかも体調があまりよくないなか、タイムはもちろん、しっかりと粘れたので中身もよかったと思います。上半期の出来は、故障からの回復を考えれば十分だと思いますね。昨年のパフォーマンスを今年も丸1年続けてというのは難しいので、今は苦しみながらもいろんなレースを経験してくれればいい。これからマラソンに向けてになりますが、神野はまだマラソンを1本も走っていませんし、マラソン練習を経験していない。しっかりと準備ができれば問題ないと思いますが、そこは冷静に見極めていきたいと思います」

 磯松監督の冷静な視線は、初マラソンに向けて前がかりになりがちな選手を俯瞰する意味において非常に重要だ。これからマラソンの本格的な練習に入る神野には、こうした見方ができる指導者の声が何よりも必要になってくる。
 
 6月末のレイヤートレーニングが終わった後、神野は上半期の出来について、こう話していた。

「ここまでフィジカルの部分は満足というか、100%に近いですね。自分のやるべきことがやれたなって思います。走りはうーん、30%ぐらいですね。3月のニュージーランド合宿で軽めのマラソン練習をして帰国後、ハーフを走るということができなかった。ただ、走りについてはこれから上げていくだけなので、それほど心配はしていないです」
 
 中野も「トレーニング自体はうまくやれているし、ここまで順調です。あとは走りの中でどう生かしていくかというところだけですね」と語っていた。

 神野は網走で目標タイムをクリアした。これでまたひとつ自信を積み重ねることができただろう。上半期は故障こそあったが、うまくリカバリーし、フィジカルを改良することに成功しつつある。いろいろなことがうまくいった昨年とは異なるが、それでも今のところ順調に成長しつづけている。

 いよいよ夏合宿、神野は本格的なマラソン練習に入っていく。

(つづく)

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