【東海大・駅伝戦記】予選会で好走も「ここは自分たちの舞台ではない」 (4ページ目)

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun  photo by Yutaka/AFLO SPORT


「残り1000mぐらいから仕掛けて、気持ちよく走れていたんですが、ラスト400mがダメでした。ラストがちょっと弱いんです。ただ、今年はずっとハーフを中心に走ってきて、今日は10kmだったので、集中して走ることはできたかなと思います」

 中島はそうレースを振り返った。昨年、箱根デビューを果たし、6区を8位で走り抜けた。そのときと比較すると、選考レースとはいえ、「ほとんどプレッシャーは感じなかった」と言う。ただ、全日本大学駅伝には特別な思いがあるのだ。

「昨年、全日本のメンバーに入っていたのに、熱を出してしまい、8人のメンバーから離脱してしまったんです。その翌日に關も体調を崩したので、最初は自分のせいみたいになったんですが、症状が違ったので......でも、かなり焦りました。結果的に(7位でシード権が取れず)そのせいで今、このレースを走っていると思うので、今日は人一倍がんばって走らないといけないなって思っていました」

 中島はこのレースで自分の役割を果たした。しかし、昨年の借りを完全に返したわけではない。残りは本戦で、たっぷりと利子をつけて返してくれるはずだ。

 湯澤は7位(30分19秒03)に入り、2組を終わって、東海大は総合1位に躍り出たのである。

 3組目がスタートした。この組は最終の4組につなげるために非常に重要だ。最終組はエース格の選手が集うので、非常に厳しい戦いになる。ここでタイム差を広げておくことができれば、最終組の選手は余裕を持ってレースすることができるのだ。ただ、3組のタイムを揃えて出場に王手をかけても、ラスト1周で山藤篤司が倒れて棄権となり、出場権を失ってしまった昨年の神奈川大のようなケースもある。東海大はここまで順調にきているとはいえ、気は抜けないのだ。

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