大迫傑「1年ぶりの1万mですけど」圧勝。長距離界で図抜けた存在に (3ページ目)

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun photo by AFLO


 ランナーは隣で走っている選手の強さを肌で感じることができる。ラストを競って、その強さを改めて実感したのだろうが、レース展開や走りを見ても大迫の安定感と強さは図抜けていた。

 その強さの秘密とはいったい何なのか。それは、トレーニングやレースで積み重ねてきた経験による圧倒的な自信だ。

 大迫は「リラックスして自分の体をコントロールして走る」ことを重視している。たとえばレースでは相手のスパートに焦り、ついていこうとして逆に最後、失速してしまうことがある。

 だが、大迫はついてはいくが無理はしない。

 逆にリラックスして、力が入らないように冷静に走る。「さぁ、スパートだ」と意識すると肩が上がったりして、力みが出てスピードが落ちてしまうからだ。

 また、レースでは自分の体をどう動かして、コントロールしていくかということに集中している。それゆえライバルたちがどう動こうがあまり気にしない。自分の走りさえすれば負けないという自信が、大迫の余裕と余力のある走りを実現しているのだ。

 もちろんアメリカで自分の目標やテーマにそった効果的なトレーニングができていることも大きい。ただ、意識やトレーニングだけでは自信を積み重ね、自分の走りを確固たるものにしていくことは難しい。4月、初めてマラソンに挑戦したが、そうした新たなレース経験も大迫の自信の芽となっている。

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