復調した才媛ランナー・鈴木亜由子
「東京五輪のために今確かめたい」

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 築田純●写真 photo by Tsukida Jun

 リオ五輪後は、11月末の全日本実業団女子駅伝に出場。チームは初優勝を果たしたが、鈴木が走ったのは3.9km区間の2区で、エース区間は関根と鍋島に任せていた。その後は故障もあって走れず、復帰したのは5月5日のペイトン・ジョーダンインビテーショナル(アメリカ)。

 復帰をしてから日本選手権までの間に出た試合はわずか1つ。5月13日の静岡県長距離強化記録会の3000mを走っただけだった。じっくりと練習はできていたとはいえ、実戦の少ないなかで、粘りきるというところまでは準備できていなかった。やろうと思えば昨年の日本選手権のように、前半から積極的に行って、ほかの選手にダメージを与えるようなレースもそれなりにはできただろうが、実戦不足という不安要素があり、そこまで勇気を持てなかったのだろう。

「やっぱりリオでは万全の状態で臨めず悔しい思いをしたので、もう1回世界で勝負したいという気持ちは強いです。でも今回の走りではまだまだ通用しないので、修正というか、しっかり準備をしたいと思います。ラストのキレを向上させるためにやっているスピード練習も間違っているとは思わないので、それを実戦の場で出せるようにしていきたい」

 鈴木が世界選手権で再び世界と勝負をしたいと思う理由。それはリオで確かめられなかった、自分の1万mがどこまで世界に通用するかをしっかり確かめること。

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