200mの飯塚翔太が、東京五輪100m代表&9秒台争いにも急浮上 (4ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Kyodo News

 決勝の10秒08は、神風が吹いたような感じだったと飯塚は振り返る。

 しかし、第1レースは本人も「あまり風を感じなかった」というように、1.7mとはいえ風に頼らない実力通りの結果だ。

 リオデジャネイロ五輪の4×100mリレーでは2走を務め、予選では9秒0台。ちょっともたついたという決勝でも、9秒1台のラップタイムで走っている。それを考えれば100mでも9秒台を出すポテンシャルは持っているということだ。

「今はまだスタートは上体がかぶるような感覚でグンッというのがないんです。でもリレーの体が起き上がった中盤の走りはすごくいいんです。100mのスタートのクラウチング姿勢からその姿勢につなげるのが課題ですね。スタートで小さく出てしまうと、起きても小さいというのが多かったので、そこをしっかりやっていけばいいのではと思っています」

 現時点の力を考えれば、10秒0台を安定して出せる力を持つ桐生と山縣が、日本人初の9秒台争いでは一歩リードしている状況だ。だが「今日の体の状態はすごくよかったので、これで(好記録が)出なかったらショックだなと思っていたんです。昨日たまたま100mのレースをイメージしてストップウォッチを計ったら10秒05だったので『速っ!』と思って。それに近いタイムを出せてよかったです」と明るく笑う飯塚もまた、今回の好記録連発で、その争いに名乗りを上げたと言えるだろう。

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