世界陸上日本代表で最速タイム、井上大仁が東京マラソンで試したこと (4ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by AFLO

 しかしその挑戦が、大失敗でも大成功でもないという結果で終わったのは、井上にとって幸いだった。本人も「自信をなくしすぎる結果でもなかったし、調子に乗るような結果でもなかったので、次に必要なことを冷静に見極められたレースだった」と話す。

「マラソンで最後まで体力が持つようにするためには、土台を作ることが必要だなと感じました。ポイント練習だけできても、それは本番の後半には活きないなと。それで、先輩の松村さんや木滑良(きなめ・りょう=2017年に2時間10分30秒をマーク)さんがやっている、ちょっと体が重い状態で15~16kmを朝夕1回ずつ走る練習を繰り返して、土台を作ることができたと思います」

 その練習の成果が今年1月のニューイヤー駅伝で発揮される。今年の4区は3年連続の区間賞を狙う設楽だけではなく、社会人1年目の神野大地(コニカミノルタ)や服部勇馬(トヨタ自動車)が注目されていた。

 そんな中、7位でタスキを受けた井上は、後方から追いついてきた今井正人(トヨタ自動車九州)や前を走っていた村澤明伸(日清食品グループ)と並走する。4.5kmで14秒後に走り出した市田孝(旭化成)に抜かれて突き放されるなど、「前半は体が重くてなかなか動かなかった」とレース後に話した今井と同じように、少し遅いペースにハマってしまった感じだった。

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