「マラソンにホームランはない」。瀬古利彦が神野大地に贈った言葉 (4ページ目)

  • 佐藤 俊●文・写真 text & photo by Sato Shun

「だから今、これだけ強度のあるトレーニングができているんです」
 
 中野は自信に満ちた表情で、そう言った。

 スポーツモチベーション内にあるトレーニングルームでは、神野が全体をリンクさせるためのトレーニングについてレクチャーを受けていた。今日は、そのトレーニングの初日になる。

 ステップ台の上に右足を置いた状態でジャンプし、30秒で左足に切り替える。最初は数回ずつだが、徐々に時間を長くして回数を増やしていく。インターバルは5分間。単純な動きのトレーニングだが負荷がかかる。シャツは汗で濡れ、パンツは「走っている時よりもビチョビチョです」と、神野は苦笑した。

 時間が長くなるとジャンプ力が落ちたり、動きが小さくなってくる。

「パフォーマンスを落とさない。キツくなっても自分の体をコントロールしていく」
「小さな体を大きく使おう。地面を蹴って体を前に出す」
 
 ハァハァと息遣いが荒くなる神野に中野の檄が飛ぶ。言葉に反応し、言われた通りの動きに神野は修正していく。

 5分...7分...10分が過ぎた。ステップ台の下には飛び散った汗が大きな溜りになっている。13分で終わり、神野は大きく息を吸い、水分を補給した。
 
 それが終わるとステップ台を挟んで立ち、ジャンプして台に登り、降りる。それを2分間続ける。シンプルだが、やってみるとかなりしんどい。約1時間ちょっとのトレーニングが終了した。

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