あの旭化成陸上部にケニア人が加入。72年目の改革断行はなぜ? (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by PHOTO KISHIMOTO

 昨年から経営陣のレベルでも、外国人選手を入れることを本格的に検討し始めた。その中で、陸上部を担当する人事担当役員を補佐する形で動いたという、陸上部副部長の坂本修一取締役常務執行役員は、「最後の最後まで旭化成は日本人だけで戦ってほしいという声も多くあるのも確かでしたし、実際にそういうチームを作ろうとやってきました」という。しかし一方で次のような議論もあった。

「旭化成陸上部の目的は、マラソンやトラックの五輪や世界選手権、主要大会で世界と伍して戦う選手を育てることです。その中でニューイヤー駅伝は『チームとしてやっているからには勝ちたい』という位置づけですが、過去、五輪や世界選手権などで戦える選手がいたときは勝っていて、いないときは勝てないという相関関係があるのも事実です。

 ですから、ニューイヤーを勝つのが目的ではなく手段のひとつと考えて、選手たちにも、『(ニューイヤー駅伝が)邪魔になっているなら、やらなくてもいいんだよ』とも言いました。でも彼らは『やっぱりチームでやるニューイヤーで勝ちたい』と言うんです。

 それに、会社としても陸上部を応援したいと考えて議論をする中で、経営陣から『やっぱり外国人がいた方がいいのでは』という意見も出てきた。それは駅伝で必ず勝てということではなく、そういう選手がいることで元々いた選手たちにも刺激になって、選手の育成にもつながるという考えです。実際に最後まで日本人だけでやってほしいという声は強いし、外国人選手がひとり入ったからといって勝てるわけではないのは確かなことですから」(坂本常務)

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