3代目・山の神もヘロヘロ。「山道最速王決定戦」を箱根5区の前哨戦に (4ページ目)

  • 佐藤 俊●文・写真 text & photo by Sato Shun

 神野はそう言った。

 今回、山田のタイムが53分59秒だった。神野は箱根5区を走るために、どのくらいのタイムを想定しているのだろうか。

「山田選手のタイムは速いと思いますし、5区の区間の上位にくると思います。ただ、5分差、3分差を逆転し、みんながアッと驚く走りができるかと言われると、まだそこには至っていない。理想は50分台です。たぶん、脚力と我慢できる心があれば、そのタイムで走れるはず。やっぱり我慢して走れる人が箱根5区を走れる人なんですよ。ここを50分台で走れるランナーが現れたら"4代目山の神"が生まれると思います」

 坂を登るには脚力や心肺機能も必要だが、何よりも我慢できる精神力が大切だという。100マイルを走るトレイルランナーの鏑木は「こういう坂は心を養える。根性とかではなく、メンタルをコントロールできる能力がつく」と語った。

 箱根駅伝は、基本的にはコースを試走できないので、各大学の5区候補がここで走り、タイムを競うようになると大きな注目を浴びるレースになる。選手にとっても、いいタイムで走り終えることができれば、心が鍛えられ、大きな自信にもなるだろう。

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