大迫傑の異例なボストンマラソン参戦は、日本陸上界の常識を崩せるか (4ページ目)

  • 酒井政人●文 text by Sakai Masato
  • photo by AFLO

 これは日本陸連の長距離強化担当者に聞いた話だが、大迫のAR(公認代理人)によると、今後については、「ボストンマラソンが終わらないとわからない」という。ロンドン世界選手権をトラックで狙うかもしれないし、ボストンで手ごたえをつかむことができたら、マラソンに本格参戦していく可能性もあるようだ。

 1897年に始まったボストンマラソンは、瀬古利彦が2回優勝するなど、かつては日本人選手も活躍した歴史と伝統を誇る大会だ。今回は世界記録保持者のデニス・キメット(ケニア)を筆頭に、2時間5分30秒以内の自己ベストを持つランナー10名が出場予定。他にも、大迫のチームメイトでリオ五輪の男子マラソンで銅メダルを獲得したラップも参戦する。前半は下りが続くワンウエイコースで、35km付近には有名な「ハートブレイクヒル(心臓破りの坂)」が待ち構えている。前半はスピードのある大迫にとって走りやすいものの、距離の適性を考えると、終盤は厳しい戦いになるかもしれない。

 世界中が注目するボストンマラソンは4月17日に行なわれる。果たして、大迫傑はどんな走りを見せるのか。日本の男子マラソンは冬の時代が続くだけに、米国で「春一番」が吹くことを期待せずにはいられない。

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