箱根2区を制した神大・鈴木健吾が
「マラソン向き」と言われる理由

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by AFLO

鈴かな口調でインタビューに答える鈴木鈴かな口調でインタビューに答える鈴木 今年の箱根駅伝が終わってからメディアに取り上げられる回数が増えた。もともと目立つのは得意ではなかったが、その回数が増えるごとに、「自分自身に満足しているのではないか?」と疑念がわき、「学生ハーフで結果を出せなかったらどうしよう」という不安も湧いてきたという。2月の合宿では、「もっと上に行かなければ」という気持ちから、走りすぎて足に痛みが出てしまったという。

「8泊9日の合宿でしたが、知らず知らずのうちに走りすぎていて、終わってから一気に疲れが出てしまいました。欲が出てきたというのもあると思います。でも、最後の1週間で調子を上げられたのはよかったです」

 3月5日の学生ハーフで意識したのは、代表入りが決定する3位以内での入賞だけだ。「最後のスプリント力がないから、15~18kmまでには3人に絞りたい」と考えていたが、そのために必要なのは、10kmを約29分で走り切ること。最初の5kmが14分30~35秒以上なら自分が引っ張ろうと考えていたが、同学年の工藤有生(駒沢大学)が最初の5kmを14分25秒と引っ張ったことで流れに乗れた。

 5kmを過ぎてからは工藤のペースも落ち着き、鈴木と共に周囲の様子を見ながらの走りとなる。10km通過時点では29分08秒とほぼ想定通り。11kmから少し集団をかわして人数を5人ほどに絞ると、13kmで鈴木が仕掛けた。

 他の選手を引き離し、15km通過時点では、2位の工藤に6秒差をつける。その後もしっかり14分台のペースを維持し、想定していたタイムより10秒以上速い1時間01分36秒で、2位の工藤に39秒差をつけて優勝した。

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