箱根2区を制した神大・鈴木健吾が「マラソン向き」と言われる理由 (3ページ目)

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by AFLO

 しかし2年生になると、1万mで28分台を記録。大後監督の話と箱根の悔しさが鈴木の気持ちに火をつけ、2年時に出場した3月の日本学生ハーフでは、あまり調子はよくない中で3位(1時間03分08秒)に入った。

「あのレースは、最後に競り負けてトップに1秒差の3位だったんですが、強い選手はあまり出ていなくて、タイムもそれほどよくありませんでした。でも、その後から練習の質を上げて、3年生になって関東インカレの1万mで3位に入り、全日本大学駅伝予選では留学生に最後までついていけるレースができたのは収穫でした。

 7月のホクレンディスタンスチャレンジでも1万mを28分30秒16の自己ベストで走れて、試合ごとに『強い選手たちに触れられるくらいの力がついてきたかな』と感じられるようになりました」

 昨年10月の箱根駅伝予選会で日本人トップ(58分43秒)の3位になった時も、鈴木は「20kmのレースで結果を出せたのはよかった」と冷静に振り返るだけだった。特別なことはせずに練習をコツコツ積み上げ、自信もコツコツ積み上げてきた。それが、今年の箱根のエース区間での快挙にもつながっても、「まさか区間賞を獲れるとは思っていなかった」と、喜び方は控え目だ。

「それまでは、どちらかというと挑戦していく立場でしたが、箱根で区間賞を獲ったので、3月のユニバーシアード選考会の学生ハーフでは他の選手から意識される立場に変わりました。いつもなら緊張はしても最終的には挑戦していく楽しみな気持ちに持っていけたのが、今回は絶対に勝たなければいけなかったですし、やっぱり緊張感が違いましたね」

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