女子マラソンの新星たちは、世界陸上で「日本の自信」を取り戻せるか (4ページ目)

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by PHOTO KISHIMOTO

 坂本直子が03年の大阪国際女子マラソンで出した、初マラソン日本最高記録を15秒上回る、日本歴代4位の記録だった。日本陸連の派遣設定記録2時間22分30秒を大きく上回り、即時内定も決まった。

 今夏のロンドンを考えると、安藤、清田、重友の3人の中で、最も期待されるのはやはり安藤だろう。2時間21分36秒は昨年の世界ランキングでは6位に相当する記録になる。足と地面の接地時間が短いことでブレーキがかからず、ロスのないフォームはまさにマラソン向きの走り。名古屋では欲を持つことなく、キルワについていくことだけを意識して走れたことが好結果につながった。世界選手権では、スローペースになった場合に揺さぶりも激しくなる前半を耐え、名古屋と同じような気持ちで淡々と走って最後まで失速しなければメダル圏内に入れる可能性は高い。

 だが、世界選手権で恐いのは無欲で臨めた初マラソンと違い、心の中に「結果を出したい」「結果を出さなければ」という気持ちが生まれてしまうことだ。それはレース本番だけではなく、そこまでの練習過程にも出てきてしまう。もちろんそんなプレッシャーを乗り越えて結果を出すのが本物の強さだが、世界選手権へ向けての練習をいかに初マラソンのときと同じく淡々とこなせるかがカギになる。

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