【月報・青学陸上部】原監督が描く
「箱根から世界的マラソン選手への道」

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun  photo by Tamura Sho/ AFLO SPORTS


 レースは、ウィルソン・キプサング(ケニア)が2時間3分58秒で優勝。日本人の最高位は井上大仁(ひろと/MHPS)の2時間8分22秒で全体の8位だった。

 レース結果を見て、原監督がうなったのは日本人3位の設楽悠太(Honda)のラップを見た時だった。5kmは14分31秒、10~15kmではトップ集団のキプサングらのラップ(14分44秒) を上回り、14分32秒で走った、ハーフでは1時間1分55秒でトップ集団とは33秒差。その後、徐々にラップは落ちていくが、非常に積極的なレース展開を見せた。

「設楽は大学を出て2年目で、初マラソンでしょ。でも、前半のこのラップはすごい、こりゃ強いよ。このラップを出せるんだから、世界陸上に行かせてあげたい。まぁ内容を分析してからになるけど、設楽のように若く、将来性がある選手を選んでほしいね」

 原監督はリザルトを見ながら、そう言った。

 昨年、東京マラソンでの下田と一色の快走が発火点となり、学生を含め若い世代がマラソンに挑戦するようになった。東京五輪に向けて各ランナーが本気モードになり始めたとも言えるが、長い目で見れば、若く、優秀なマラソンランナーが増えていくことで全体のレベルが上がる。すぐにアフリカ勢を打ち破り、いきなり五輪で金メダルとはいかないだろうが、設楽のように序盤からトップランナーと同じ土俵に乗り、終盤まで戦える選手が出てくる可能性が高い。そうすればタイムではなく、"勝負"で勝てるかもしれない。

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