【月報・青学陸上部】原監督が描く「箱根から世界的マラソン選手への道」 (3ページ目)

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun  photo by Tamura Sho/ AFLO SPORTS


「20kmのラップを見て、あーこれは2時間17、18分ぐらいかなって思っていたんですよ。そうしたら20~25kmのラップが16分3秒、25~30kmが16分8秒と16分ひと桁で我慢していた。これはもつなって思ったね。これがダメなランナーだと16分40秒、ヘタすりゃ17分まで落ちて2時間20分以上かかるけど、そこを我慢して16分ひと桁をキープしたのは大したもんだよ」

 中村は原監督の読み通り20km以降、ペースを落とすことなく走り切った。初マラソンとは思えない冷静なレース運びで、2時間13分を切ったのだ。

「なんとか、がんばれました(笑)。レースは最初からハイペースでこれはキツいなって思ったんですが、すぐに切り替えて集団の中で我慢してついていくことにしました。途中、15~20kmでペースが落ちたんですが、ここが一番キツかったです。その後、盛り返して1km3分10~15秒ぐらいのペースでいけたらいいかなと割り切って、自分のペースで刻んでいけた。それがよかったのかなと思います」

 途中、青学の先輩でGMOアスリーツの橋本崚を抜いた。

「この時はヨッシャーと思いました(笑)。橋本さんに勝てたのはよかったです」

 中村は筋肉痛に顔を歪めながら笑った。原監督は、中村の予想以上のタイムに驚きが隠せない様子だった。

「マラソン合宿から調子がよくなくて、マラソンの適性があるのかなぁって不安だったけど、意外と本番で力を発揮するタイプ。一番最初のレースで失敗したら、次やる気が起こらんもんな。まぁ、もともと高校の時は1500mのスピードランナーだし、そういう選手がマラソンを走って13分を切るんだから、スピードランナーにはどんどんマラソンに挑戦してほしいし、そういう意味でも今回、中村が結果を出したのはよかった」
 

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