勝つために遅く走る日本のマラソン
新戦術「ネガティブスプリット」とは

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Kanami Yoshimura/PHOTO KISHIMOTO

 現段階で山下コーチが思い描く理想は、2時間24分、25分の選手がたくさん出てきて、激しく競り合うような状況を作り、その選手たちも、練習では2時間20~21分台を狙う取り組みをしてほしいということ。さらに今年8月の世界選手権以降にマラソンに挑戦してくるであろう、トラックのスピードのある選手たちには、いきなり5km16分台のペースで走って2時間20~21分台を狙うような取り組みもしてもらいたいという。

 山下コーチが考えるネガティブスプリットのレースは、前半に余裕を生むことで、勝つために、今自分がどんな走りをするべきか、選手自身が考えるキッカケを作る試みでもある。考えることが選手にとって普通になれば、それぞれが自分の武器を考え、それをトコトン磨くことができる。目指すのはそこなのだ。

 このネガティブスプリットのレースは、3月の名古屋ウイメンズマラソンでも実施される予定だ。

■陸上 記事一覧>>

5 / 5

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る