【月報・青学陸上部】不振の「秋山隊長」が
快走。往路優勝を呼び込んだ

  • 佐藤 俊●文・写真 text by Sato Shun  photo by Kyodo News


「この時点で、いけるかな」

 原監督は、優勝をほぼ確信した。5区の貞永隆佑は、頂上付近までは順調に走った。そこを超えると風が強くなり、かなり疲労も感じたという。それでも貯金をうまく使いながら最後までリードを守った。直前までカーボ・ローディング()して体調を整えた。貞永はもともと太りやすい体質だが、体重をおさえて山を登るという神野からのアドバイスを聞いて、この日に挑んだ。納得いく走りではなかったが、タイム差を残して復路につなげたことは大きなプラスだ。
※運動エネルギーとなるグリコーゲンを体に貯蔵するために行なう運動量の調整、栄養摂取法

「ゴールした時はホッとしました。タイム差とか、相手の走りとか、中継所でもずっと気になっていました。それが自分の弱さでもあるんですが......。でも、最後までリードを守れたのはホントよかったです」

 山の神不在と言われた今シーズン。貞永は"山登り"候補で直前に故障した内田翼の分もという意識で山を登り、及第点の走りを見せたのである。
 
「今年の青学はずば抜けた選手はいないけど、チームの総合力で往路優勝ができました。それってある意味で本物の強さかなって思います」

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