明暗分かれた「山の神」たち。3代目・神野はニューイヤー駅伝で輝けるか (2ページ目)

  • 酒井政人●文 text by Sakai Masato
  • photo by AFLO

 しかし、学生時代の輝きがまぶしいと、大学卒業後の姿が色褪せて見えてしまうことがある。特に、箱根駅伝の5区でスターになった選手たちの、その後の現実は厳しい。彼らは社会人でもヒーローになることを期待されるが、もう箱根の山で戦うことはないからだ。

 ニューイヤー駅伝に山はないが、「箱根5区」のイメージに近いのが同じ5区になる。15.8kmと距離が2番目に長く、標高差は約60mを上る。標高差が約860mある箱根5区のように極端な上りではないものの、上州名物の空っ風をもろに受けるため難易度は高い。スピードよりも強さとタフさが求められるこの区間を、今井と柏原も複数回経験している。

 今井はデビュー戦の08年に区間5位、12年に区間トップ、前回は区間2位と5区でも上々の成績を収めているが、それよりも最長22kmのエース区間である4区で素晴らしい走りを見せている。13年に区間記録を更新して区間賞を獲得すると、10年、11年、14年、15年はすべて区間2位。周囲の大きな期待に応え、その実力が山だけではないことを証明した。

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