低評価を覆して箱根を走る上武大。
近藤監督は選手のメンタルを磨く

  • 加藤康博●文 text by Kato Yasuhiro
  • photo by Sportiva


 そして、近藤監督の指導の特徴は調整力の高さだ。10月の箱根予選会は6位で通過。それ自体も見事だが、チーム上位10名はほぼ近藤監督の想定通りのタイムで走り、大きく崩れる者がいなかったことは大いに評価すべき点だ。

「試合に向けた調整はオーソドックスで、特別な対策はしていません。ただ、日頃から選手には『今、何をすべきか』を伝えるだけでなく、『どのような流れで、試合まで調子の波を上げていくか』を伝えています。そのイメージを選手と共有することで、選手自身の意識も高くなり、全体練習以外での取り組みも変わってきました。逆の言い方をすれば、それを考えて実行できる選手が、今の主力となっています」

 コーチ時代から選手と共に寮生活を送る近藤監督は、選手にとって身近な存在であり、兄貴分に近い存在だと上武大関係者は言う。だが、選手起用に関しては選手の可能性や潜在能力に期待するのではなく、あくまで練習での達成度を重視して決める。いつも柔和な笑みを絶やさない近藤監督だが、選手を見る目は厳しい。

 その近藤監督が、悲願のシード権獲得のために今年の箱根路に向けて思い描く戦略は、いったいどのようなものなのか。

(後編に続く)

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