【月報・青学陸上部】箱根駅伝へ向けて学内サバイバルが始まった (2ページ目)

  • 佐藤 俊●文 text & photo by Sato Shun


 選手にとって、この世田谷ハーフマラソンが箱根駅伝を走るための最初の関門になる。この後、11月26日に開催される10000m挑戦記録会で結果を出し、最終的に箱根駅伝登録メンバー(16名)に入らないと、箱根を走ることができないのだ。もっとも箱根の往路を走る主力メンバーと特殊な6区、大事な7区を走る選手はほぼ固まりつつある。残りの8、9、10区を争うことになるのだが、このレースで結果を出せば箱根の椅子を獲得することは可能だ。

 昨年、中村祐はこの世田谷ハーフマラソンで優勝し、箱根(9区)の切符をつかんだ。このレースは現段階で指定席のない全選手にとって大きなアピールの場になるのだ。

 果たして、誰が飛び出すのか。

 期待したのは、全日本で出走メンバーから外れた4年生の秋山雄飛、茂木亮介、田村健人、そして池田生成だ。大学最後のレースとなる箱根にはそれぞれ強い思いを持っているだけに、この世田谷ハーフでその思いを好タイムにつなげられるか。

 また、全日本大学駅伝で3区を走り、原監督に「誤算だなぁ」と言われた吉永竜聖にも興味があった。全日本で快走し、箱根当確の一発回答を得るつもりだったが緊張から思うような走りができず、今回「追試」になっていたのだ。

 スタートしてしばらくして青学の待機所にいると「(鈴木)塁人(たかと)がクイラについている」という情報が入ってきた。その後も場内のアナウンスから10km地点、15km地点と上位を走る選手が紹介される。鈴木はペースを崩さず、2位を快走しているようだ。

 駒沢競技場に入ってくるところで選手を待っていると、クイラに遅れること30秒弱で鈴木がやってきた。額に汗を浮かべ、苦しそうな表情をしながらもペースは落ちない。1年生だが堂々の走りっぷりだ。

 つづいて、吉永が戻ってきた。「はぁはぁ」と苦しそうに顔を歪めて走るが、箱根行きの切符がかかっているだけに粘りの走りで鈴木についていく。

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