2016.11.04

【月報・青学陸上部】反骨のランナー・
中村祐紀が全日本駅伝にかける思い

  • 佐藤 俊●文・写真 text & photo by Sato Shun

 簡単に14分を切れなくなり、スピードが上がらない。体が硬くなり、思うように練習ができないので、あとは夏合宿で取り戻すしかなかったのだ。ところがそんな中村のプランを打ち砕く事件が起きた。7月9日、世田谷記録会が終わった後の練習中、大腿部を痛めて戦線離脱したのである。

「骨折ではなかったんですが、筋肉をだいぶ痛めてしまって走れない状況でした。夏季1次合宿は何もできない状態だったので、給水や食事の手伝いとかを1年生と一緒にやっていました。みんな、順調に練習を消化しているのを見ているとつらかったですけど、走ってないのだから、遅れていくという焦りはなかったです。

 走り出したらすぐに下や中間層のレベルには追いつけるし、いつでも抜いてやるよっていう感じでいました。ただ、現実はその時点で走れていないので、選抜の2次合宿には行けないだろうし、出雲も厳しいなと思っていました」

 中村はチャレンジ組の合宿に入り、調整を続けた。合宿後半には30kmを普通に走れるようになり、みんなと同じ練習メニューを消化できるようになった。復帰まで約2カ月かかったが、故障はそれまでの自分のやり方を見つめ直すいい機会になったようだ。

「昨年までは用事があると、ケアよりもそっちを優先させていたんですが、今年になってからはストレッチとかケアに時間を当てて、自分の体を管理するようになりました。ただ、それでも夏前に故障したので……。だから、まだストレッチやケアが足りないのかなと思い、さらに練習前後のケアに時間をかけているし、食生活にも気を配るようになりました」

 練習に完全復帰した後、見据えていたのは9月中旬にある3次選抜合宿だった。しかし、中村は早く選抜組に合流したい気持ちと、故障明けなので、まだ調整したいという気持ちの狭間で大きく揺れ、決断できずにいた。