【月報・青学陸上部】注目の出雲駅伝は「山梨学院大と一騎打ち」 (3ページ目)

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun  photo by AFLO


 早朝ゆえにトーンは低いが、その声は自信に満ちていた。 
 
 小関一輝マネージャーと伊藤雅一マネージャーはスタッフとミーティングしている。1区から6区までアップ用の黒マット、バランスボールや着替えなど必要なものと各区間で選手をサポートする人の名前を紙に書き、確認していく。

「準備を抜かりなくやることが、僕らの本番でもあります」

 選手を支える側の戦いは、もうすでに始まっているのだ。

 13時05分、気温20.5℃、湿度68%、快晴の中、出雲駅伝がスタートした。
 
 1区の鈴木は穏やかな表情で最初の下りを降りていく。時々、腕時計と周辺の選手を確認しながら1km2分40秒ペース、団子状態の中で進んでいった。

「監督には、『誰が出ても中途半端に追っかけるな。俺たちの相手は山梨と東海だ。ここらをマークし、特に山梨との差が何秒になるのかを考えて走りなさい』と言われたので、それを意識しながら走っていました」
 
 4kmの通過タイムは11分44秒、昨年よりも30秒近く遅いタイムだ。ここから東洋大の櫻岡駿(4年)がペースを上げた。この時、鈴木は「かなりキツかった」という。7kmを越えると表情がさらに歪んだ。

「苦しかったですけど、粘るしかなかったです。これで区間10位とかで終わったら、先輩に合わす顔がなかったので」

 鈴木は首位の日体大に遅れること10秒、山梨学院大には7秒の差をつけられて5位でフィニッシュした。

 2区、田村和がいつも通りの走りで快調に飛ばす。2km地点で首位・東海大の舘澤亨次(1年)に5秒差まで詰め寄った。コンディションはよかったが、苦しめられたのが出雲に吹く強風だった。

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