激戦必至の箱根駅伝予選会。
今年はあの名門大学が敗退の危機に!

  • 酒井政人●取材・文 text by Sakai Masato
  • photo by Kyodo News


 前キャプテンがケガの影響でチームをうまく引っ張ることができず、上級生を中心に戦う意識も欠けていた。そこで藤原監督は、全日本選考会後に主将と副将に1年生の舟津彰馬と田母神一喜を大抜擢。チームに緊張感を与え、「2~3年でシード権、5~6年で3位以内、10年で優勝を目指したい」(藤原監督)という中長期的なプランを視野に、伝統校に改革をもたらしてきた。後輩たちにいいバトンを渡すため、予選会にエントリーした6人の4年生も意地を見せたいところだ。

 予選会突破のためには、エースがどれだけ貯金を作れるかがカギとなる。中央大でその役割を期待される、前回の予選会で個人総合15位(59分55秒)に入った町澤にとっては、同じく60分を切った同2位のデレセ(拓殖大)、同3位のシテキ・スタンレイ(東京国際大・3年)、同9位の鈴木(神奈川大)、同12位の足羽純実(法政大・4年)の4名がターゲットとなる。スピードはワンブィ(日大)がナンバー1で、ほかにもムソニ・ムイル(創価大・1年)、サイモン・カリウキ(日本薬科大・2年)ら出場が有力視される留学生の爆発力にも注意しなくてはならない。

 もちろん、上位の選手だけでなく、各校8~10番目にフィニッシュする選手の順位も大きなポイントになる。集団走など「チーム戦略」で勝負する大学もあり、箱根駅伝の予選会は独特の戦いが展開される。大混戦の予感漂う今回は、どんな結末が待っているのか。学生ランナーたちの「もうひとつの箱根駅伝」から目が離せない。


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