ケンブリッジ飛鳥「10秒切りは近いうちに。目標はその先にある」 (4ページ目)

  • 水野光博●文 text by Mizuno Mitsuhiro  村上庄吾●写真 photo by Murakami Shogo


「言っちゃうと騒ぎになって大変だから。あんまり言いたくないです。それに、記録だけを追い求めるんじゃなくて、それ以外の部分も大事にしていきたいです。今日は、このくらいまでにしておきます(笑)」

  では、共に銀メダルを獲得した、山縣亮太、飯塚翔太、桐生祥秀は、ケンブリッジにとって、どんな存在なのか。ライバル? 仲間? 同志?

 「全部じゃないですか。ずっと前から一緒に競ってきて、お互いの力も、切磋琢磨してついてきた部分もあると思うんで。4人がそれぞれ刺激しあったのが、今回のオリンピックの結果につながっていると思います」

 その中で最初に10秒の壁を破るのは誰か?

「僕が最初に出せればいいなとは思います。ただ、みんな思ってると思いますよ。『俺が最初に』って。そうじゃなかったら、みんな、ここまでの選手になってないんじゃないですか。もちろん3人以外にも、これから新しい選手もたくさん出てくると思います。それでも自分が、4年後の東京オリンピック、来年、3年後の世界陸上も出るんだって気持ちを持ってやってこうと思います」
 
 最後に、その胸にしまっているタイムを、もう一度聞いた。

「10秒を切った時に言います。最終的な目標を口にする前に、まずは9秒台という最初の段階の目標をしっかりクリアして。それからですね」

 ケンブリッジ飛鳥の真っ直ぐな視線、そして、その自信に満ちた言葉を聞いていると、永遠とも思えていた"10秒"という壁も、実はすでに崩壊が始まっていると確信できるから不思議だ。

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