ケンブリッジ飛鳥「10秒切りは近いうちに。目標はその先にある」 (3ページ目)

  • 水野光博●文 text by Mizuno Mitsuhiro  村上庄吾●写真 photo by Murakami Shogo

 それはビッグマウスでない。すでにケンブリッジにとって、9秒台は通過点でしかない。

「今年は、オリンピックだからと特別に何かを変えることもなく、去年の暮れから同じようなトレーニングをしています。まだまだ限界、いっぱいいっぱいという感覚は自分の中で感じていないんで、このままトレーニングを積めば、まだまだ伸びると思います」
 
 そして、2014年にジャマイカで武者修行したように、その視野は海外にも向いている。

「まだ今シーズンは終わっていませんし、来シーズン以降のことは具体的には決まっていないんですけど、海外でトレーニングするという可能性もあります。今回、世界のトップ選手と走るのがオリンピックだけって、すごくもったいないって思ったんです。ドンドンドンドン世界に出て、世界のトップ選手と走る機会を増やしていければいいなと思います」
 
 また、自身の強化すべき箇所も明確に見えている。

「ここから大事なのは、自分の武器をどこまで伸ばせるかだと思うんです。僕の武器は、後半のスピードを落とさず、高い位置でスピードをキープできること。そこをどれだけ磨いていくか」

 初めて10秒の壁が破られるのは、それほど遠い未来ではないのかもしれない。ケンブリッジは、全日本実業団選手権(10秒15で山縣亮太に次ぐ2位)を経て、いわて国体(10月7日〜11日)に100mで出場を予定している。

「今回のオリンピックでも、すごく手応えは感じていて。本当にもうタイミングだと思います。国体で出せれば。間違いなく来年には出したいです」

 ただ、「スケールの大きな選手になりたい」と語る彼は、口外こそしないが胸に秘めた最終目標のタイムがある。

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