【月報・青学陸上部】2つの寮のシビアな格差。強さの秘密がここに (3ページ目)

  • 佐藤 俊●文・写真 text & photo by Sato Shun


 学内TT5000mに参加するのは全38名、木村光佑(2年)、谷野航平(1年)、仲正太郎(1年)の3名は3000mを走る。いつもとはちょっと違うピリッとした空気の中、原監督がスタートラインの横に立った。

「位置について。GO!」

公式戦並みの真剣度、学内タイムトライアル公式戦並みの真剣度、学内タイムトライアル 

 原監督の大きな声が弾んだ。

 10名は出雲の杜を駆けるために、それ以外の28名は次の全日本大学駅伝をにらんで学内TTがスタートした。

 序盤、一色が先頭に立ち、引っ張る。だが、突き離す感じはしない。

「今回はペース走を意識していました。大会20日前に全力を出してしまうと本番に合わせて調整するのが難しくなるし、僕が13分50秒ぐらいでいくと誰もついてこなくなる。14分10秒ぐらいだとチームの底上げにつながるし、自分の調整にもつながりますから」

 走り終わった後、一色はそう言った。

 その走りは確かにチーム全体のことを考えてのものだった。走りながら中村祐紀(3年)らに「前に出ろ」と声をかけ、選手を盛り上げていた。3000mまで1km2分50秒ペース、一色のいう14分10秒目安で引っ張った。

 だが、3600mで田村和が前に出るとペースが上がった。

「14分台一桁いけるよ!」

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