【月報・青学陸上部】合宿終了。駅伝メンバー入りのチーム内競争が激化 (3ページ目)

  • 佐藤 俊●文・写真 text & photo by Sato Shun

 ポイント地点では小関マネージャーがタイムを読み上げる。ペースとしては最初の15kmまでは1km3分36秒、後半の15kmからは1km3分30秒で設定されている。1周目折り返す手前で伊藤マネージャーが集団に横付けして並走し、給水ボトルを差し出す。給水タイムは7.15km地点、20.25km地点と設定されている。毎年、同じところで合宿を張り、同じコースを走るので設定を同じにすることで昨年や一昨年とタイムの比較ができるのだ。

 集団は一色、安藤悠哉ら4年生が先頭に立ち、引っ張っていく。アッという間に25kmを走り、残り5kmだ。ペースが上がるが間延びせず、大きな塊となって走っている。ところが残り4km地点だろうか。秋山雄飛がひとり集団から離れはじめた。表情が苦しそうで足の運びもたどたどしく、体が重そうだ。

 秋山は前々日のトラックでの練習でも後半、ひとりだけ離れてジョグをしており、練習後は「体がきつい」と漏らしていた。前日の15km走では後半に集団から離れ、最後は片足をひきずるようにひとりでゴールした。宿舎に戻る途中、左足のハムストリングを気にしており、「ちょっとわからないですけど、筋肉系かもしれません」と、声を落とした。クールダウンのストレッチ中は誰とも目を合わさず、表情はかなり深刻だった。その後、吉見トレーナーによる入念なケアで回復し、30km走に挑んだ。しかし、最後は大きく遅れ、稲村健太マネージャーと並走して、なんとかフィニッシュした。

「秋山、いつまでリカバリーしとるんか」

 原監督の厳しい声が飛ぶ。秋山は、ただ首肯(うなず)くだけ。聞くと足には問題がなく、体調不良でガス欠気味になったという。

 4年で主力の秋山の調子の波が大きいのは、これから駅伝シーズンに向けて懸念材料である。ただ、それが秋山なのだという見方も部内ではあるという。

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