【月報・青学陸上部】夏合宿に同行。どんな練習を消化しているのか? (7ページ目)

  • 佐藤 俊●文・写真 text & photo by Sato Shun


 幸い夏季合宿では、大きなケガで離脱している選手はほとんどいない。チームとしては稲村の経験が語られる機会がないことが理想だが、こうした苦しみを知るマネージャーの存在はチームにとって貴重になる。これから秋の駅伝シーズンで本番を裏方として経験し、来年は4年生のマネージャーとして、チームを支える存在になっていくだろう。

 午後6時過ぎ、選手がトラックに集まり、原監督と安藤悠哉主将の言葉で練習が終わった。「夕食は7時から」と小関マネージャーから全選手に伝えられた。選手は宿舎の駐車場に戻り、クールダウンに時間をかける。

「阪神、CS行けるかもしれん」
「いや、ムリでしょ」

 選手たちの笑い声が響く。

 青学陸上部には軍隊的で厳格な上下関係がない。練習後や食事時などを見ていると後輩が軽く先輩をイジる時があるし、先輩もそれを流して笑いにする。練習はピリッとして厳しいがふだんは明るく、いいムードだ。そうしたチームの雰囲気がいい結果を生むひとつの要因になっていることは間違いない。

 全体のクールダウンが終わる下田が競技場の方に走って行った。

「これから川に入ってクールダウンしてきます。冷たくて気持ちいいんですよ」

 主力の姿勢が後輩に好影響を及ぼす。翌日の練習後はバンに乗って6、7人が競技場脇の幕岩川にクールダウンしに行った。

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