「末續世代」最後の現役。棒高跳・澤野大地がリオ入賞で伝えたもの (5ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by JMPA

 かつては澤野以前にも、短距離の伊東浩司や朝原宣治、400mハードルの山崎一彦や為末大、ハンマー投げの室伏広治などが世界へと視野を広げて、世界レベルの仲間入りをすべく、実力を磨き上げていた。だが、現在は単身で武者修行のように海外遠征する選手は極めて少なくなっている。そんな状況だからこそ澤野は、グランプリファイナル(グランプリシリーズポイント上位者のみが出場できる)にも進出した貴重な経験を、後進に知ってほしいのだ。

「海外に視線を向けることだけではなく、僕自身が昨年はアキレス腱を痛めて苦しみながらもそこから立ち直った。アキレス腱がダメになって苦しんでいる選手や、競技を諦める選手はすごく多いと思うので、そこも伝えていきたいひとつですね」

 アキレス腱痛の苦しみから復活した今季、澤野は「精神的にも技術的にも進化している。今は日本記録更新も狙うことができる状態だ」とまで言った。そして「競技を年齢で決めつけるべきではない。できると思うならやった方がいい」とも言う。

 今や"レジェンド"ともいえる域に迫ってきた澤野は、同じ競技者としての立場のまま、にその発言や行動を通して若い世代にバトンをつないでいきたいと決意している。

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