ケンブリッジ飛鳥に優勝を許した、桐生祥秀と山縣亮太の「ライバル意識」 (5ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 岸本勉/PICSPORT●写真 photo by Kishimoto Tsutomu/PICSPORT

 ただ、この3人に関していえば、9秒台に入る準備は完全にできているといっていいだろう。伊東副委員長はこう話す。

「桐生くんはここ最近、私が10秒00を出したあとの雰囲気に似て、9秒台への期待をひとりで背負ってしまったようなところもあった。ここで一回荷物を下ろして楽になって、平塚の学生個人選手権のときのように元気に走ってほしいですね。そうすればみんなが納得する記録や走りもできると思うから。

 3人にはあまり『条件、条件』というのではなく、今日みたいな勝負というところで切磋琢磨してもらえればと思います。それでしっかりとリオで自分の力を出せれば、結果もついてくると思う。ただ単に9秒台というのではなく、中国の蘇炳添(そえいしゅう)選手(9秒99を2回)やフェミ・オグノデ選手(カタール・9秒91)を見て、『アジア記録を奪い返すんだ』というくらいの気持ちでやってほしいというのが、私の願いです」

 100mならではといえる醍醐味のあるレースを見られた日本選手権。9秒台への期待
は、リオデジャネイロ五輪に持ち越された。

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