日本選手権1万mで悲願の初優勝。悔し涙から4年、大迫傑がリオ五輪へ (4ページ目)

  • 酒井政人●取材・文 text by Sakai Masato
  • photo by AFLO

 メンタル面でいうと、日本を飛び出して世界最高峰のクラブでトレーニングを重ねてきたという自信も大きかった。

「4年間ずっと目的意識をもってやってきて、それがオリンピック選考という舞台で発揮できたことがうれしいですし、大きな意味を持つと思います。特に今年は日本選手権のレースをイメージして取り組んできて、その時間の長さが勝因かなと思います」

 昨年、男子1万mは村山紘が27分29秒69の日本記録を樹立したが、大迫の実力はさらに上かもしれない。コーチのアルベルト・サラザールからは「27分20秒を切る力はある」とも評価されている。

 大迫自身も、26分台のタイムを持つモハメド・ファラー(英国)やゲーレン・ラップ(米国)らと走り込み、「練習内容からして、彼らとそこまで大きな差はありません。きついメニューでもついていけることがあります。ただ、日本選手権で結果を残すことができず、ずっとクエスチョンマークではあったんですけど、やってきたことの成果が確実に表れてうれしいです」と完全に自信をつけた。

「5000mも勝って今後のステップにしたいですね。リオ五輪では『入賞』を目標にしていきたい。練習内容からしても、そこは確実に見えるところにあるので、頑張りたいと思います」

 昨年11月、14年半ぶりの日本記録更新で「27分台前半」という領域に突入した男子1万m。色めき立つ男子長距離勢を、大きく進化を遂げている大迫が引っ張り、さらにトラック競技のタイムを短縮していくだろう。

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