日本選手権1万mで悲願の初優勝。悔し涙から4年、大迫傑がリオ五輪へ

  • 酒井政人●取材・文 text by Sakai Masato
  • photo by AFLO

 村山紘は、大迫を徹底マークして得意のラストで勝負する作戦だったが、「悠太さんのスパートに反応した瞬間、大迫さんをマークするという考えがポンッと飛んでしまいました。無駄な力を使ってしまって、最後のスパートに対応できませんでしたね。もう少し冷静に行くべきでした」と振り返った。残り1周で猛スパートを見せて2位に上がるも、最後の直線で日本選手権の連覇をあきらめた。

 オリンピック代表は最大3枠。優勝した大迫は「参加標準記録突破+日本選手権優勝」で、2位(28分16秒54)の村山紘は「派遣設定記録突破+日本選手権8位以内(最上位1名)」という条件をクリア。ともにリオ五輪代表が内定した。

 残り1枠は、日本選手権終了後の会議で以下の1から4の順に審査され、6月27日の理事会で正式に決定する。

1 派遣設定記録突破+日本選手権8位以内
2 参加標準記録突破+日本選手権3位以内
3 参加標準記録突破+日本GPの日本人1位(※日本選手権8位以内が条件)
4 参加標準記録突破+強化委員会推薦競技者(※日本選手権出場は問わない)

 派遣設定記録を突破していた鎧坂哲哉(旭化成)は、設楽悠のペースアップに対応できず、そのあとはズルズルと後退。8位以内でOKだったにも関わらず、16位に沈んで絶好のチャンスを逃した。

 鎧坂が8位以内に入ることができなかったため、最後の代表枠は28分17秒51の3位でフィニッシュした設楽悠に与えられることが濃厚だ(設楽悠は選考条件の2をクリア)。

「最低でも3位以内に入って選考に引っかかるのが目標でした。自分でレースの主導権を握らないと、チャンスはないと思ったので、積極的に前のほうでレースを進めました」という設楽悠は、残り6周でのアタックが功を奏し、鎧坂を突き放すことに成功。自力でリオ五輪キップを引き寄せた。

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