リオ五輪陸上で最もメダル有望。「競歩トリオ」が語るチーム日本の戦略

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 梁川剛●写真 photo by Yanagawa Go

森岡 僕の場合は、勝負重視で、一緒に歩きながら「最後はどこで抜け出そうか」というのを考えているので、距離の壁は感じずに済んだかなと思います。世界大会でも記録より順位という気持ちでやって結果も出ているし、練習にしても自分はレースにピークを合わせればいいというスタイルだから、一緒に合宿をやっているときもほかの選手に遅れを取ることが多々あります。

荒井 森岡さんは自分の体調を客観的に判断して、ペースを守れるすごさがありますね。何もわからない頃はそこで「勝てる!」と思ったけど、競技を重ねてきた今は必ずしも追い込めばいいということではないなと。でも大体の人は前に人がいると、自分の体調も関係なしに追いかけちゃうんです。僕や谷井さんはそういう荒くれ者みたいな、飛び出しちゃうタイプでしたから。

森岡 みんなやっぱり強くなりたいという気持ちを前面に出して、欲張る部分がすごくあるんです。なので、僕が遅れるというよりも、みんなが速く行っているだけなんです(笑)。ただ去年の3月には、一度そういう気持ちを解き放って、練習でも全部谷井さんの前に行ったことがあるんです。すべてぶっちぎるくらいに。でもその結果が日本選手権で途中棄権だったので。あれで自分のスタイルを改めて確認できました。

谷井 あの練習は距離も質も高かったけど、さすがにやりすぎだろうなと思いましたね(笑)。

荒井 僕も12年のロンドン五輪選考会の前に今までで一番練習量を増やしたんです。そうして体調がどんどん悪くなって、貧血のようになって見事に失敗したので。必ずしも練習量がすべてではなく、練習と休養のバランスをしっかりとる方が、長期的に見れば伸びていくんだなと実感しました。

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