なんと86年ぶりの五輪2名出場へ。陸上10種競技の魅力は「連帯感」 (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Yuya Nagase/PHOTO KISHIMOTO

 それでも中村は「4分28秒で8100点突破と考えて守りに入ってはいけないとコーチとも話した。うまく4分13秒までいけば8200点になると思い、その記録を狙って走った」という。結果は4分16秒30、合計は日本歴代2位の8180点にして優勝。参加標準突破で日本選手権優勝という条件をクリアして、陸上トラック&フィールド種目での初の五輪内定を決めた。

「10種目を通して悪いところもなく、自己ベストに近いところでコツコツ得点を積み重ねられたのが自分のスタイルだし、それをこの舞台でできたのが少し成長したところかもしれない。右代さんがいてもいなくても自分の戦いをして8100点を突破しなければダメだと思っていました。誰がいても自分のペースでできて、右代さんが流れを作ったらそれに乗れるようにしなければいけないと思う」

 こう話す中村は4年前のロンドン五輪には400mハードルの選手として初出場を果たしている。だがそのときは「400mハードルより、10種で出たかった」とこぼしていた。その念願の本職での五輪出場を、初めて手にしたのだ。

 彼のコーチでもある、日本陸連の本田陽混成部長は「昨年初出場した世界選手権では得点を稼ぐべき100mや400mで、(記録のいい)10秒1~2台や45秒台の選手と一緒になってしまい自分の走りができなかったから、まずはそういう選手と走っても10秒4台や46秒台で走れるようにする必要はある。単種目の自己ベストを合計すれば8400点以上になる。10種の得点はそこから100~200点は低くなるものだが、ポテンシャルを考えれば右代の8500点台には及ばなくとも、8300点を出す力は持っている」と話す。

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