なんと86年ぶりの五輪2名出場へ。陸上10種競技の魅力は「連帯感」 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Yuya Nagase/PHOTO KISHIMOTO

 そんな状況のなか、中村は最初の100mを10秒69で走り、次の走り幅跳びは7m65と、得意な2種目で自己ベストに迫る記録で滑り出すと、苦手な砲丸投げでは3cmだけ自己記録を更新。初日最後の400mは、風雨が強い中のレースになったが、自己記録に迫る47秒82で走り、この時点で日本最高得点の4278点で前半を終えた。

「競技直前までは正直不安の方が先走っていたけれど、それを乗り越えて結果を出せたのはよかったです。昨年の日本選手権はひとりで記録を出そうと思って空回りでしたが、今年は自分のペースを守りながらも、他の選手たちみんなで盛り上がりながらできました」

 こう話す好例が、4種目の走り高跳びだった。高校時代まで専門種目にしていて2m10を跳んだこともあるが、今年に入ってからは感覚が崩れて1m90台に記録がとどまっていた。だがこの日は中村を含む4名が2m02に挑戦する中で、3回目にそれをクリアしたのだ。

 2日目も最初の110mハードルを、追い風2.1mながら14秒12の好記録でスタート。(混成では1種目の風速が2mを超えても、風速が公認条件になる100m、400mと合わせて風力の平均値が2mを下回れば公認記録となる)

 9種目のやり投げでも苦手種目克服への取り組みの成果を出して自己記録の54m18を投げ、その時点での得点を自己ベストの得点経過の+148点にした。

 最後の1500mは4分28秒で走れば、目標の8100点を突破できる状況だ。トラック種目を得意にする中村が4分10秒台でコンスタントに走っていることを考えれば、標準突破は確実になった。

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