【月報・青学陸上部】箱根と並ぶ春の大一番、関東インカレでの異変 (3ページ目)

  • 佐藤 俊●取材・文 text by Sato Shun 築田 純●写真 photo by Tsukida Jun

 10000m出場のために招集所にいく時間となった。原監督は後ろから一色の両肩をもみ、「リラックスして走ってこい」と笑顔で声をかけた。一色は小さな笑みを浮かべて頷いた。運動会を走る子どもに声をかける父親のような監督流の優しい送り出しだ。

 待機場所やレ-ス終了後の選手をフォロ-するために庶務の小関一輝とともに忙しく動いていたのが安藤悠哉主将である。

 春前にアキレス腱を痛め、さらに梨状筋症候群になり、走ることができなかった。インカレの1週間前ぐらいから負荷のかかる練習を始めたが、まだ本格的に合流していない。そのため選手のサポ-トに撤している。

「ケガなので焦っても仕方ないですが、走れないと走っている選手を見れないですし、何か言うにも説得力を欠いてしまいます。だから、早く合流したいですね」
 
 走りたくても走れない、そんなもどかしさと悔しさが表情に浮かぶ。安藤は過去にならい部員たちに推挙されて、主将になった。箱根3連覇に向けてすでにチ-ム作りを始動しているが、同じ青学でも自らが走って初優勝を果たしたチ-ム、そして「過去最強」と言われた神野大地らが引っ張ったチ-ムと毎年カラ-がそれぞれ異なる。今年はどういうスタイルのチ-ムを目指しているのだろうか。

「初優勝したときのチ-ムは、本当にすべてが厳しかったんですが、昨年はそこまで厳しくなくて、自分のことは自分でやろうという感じだったんです。今年、僕が主将になってどういうチ-ムを作ろうかと4年生で話をした時、厳しくするのは簡単だけど、さらにレベルを上げていくには自主性が大事。厳しくいくところは厳しくするけど、ガチガチの厳しさではなく、柔軟性と自主性を持ったチ-ムにしていこうと決めました」

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