【月報・青学陸上部】箱根と並ぶ春の大一番、関東インカレでの異変

  • 佐藤 俊●取材・文 text by Sato Shun 築田 純●写真 photo by Tsukida Jun

 関東インカレ(関東学生陸上競技対抗選手権)は、関東の中長距離選手にとって箱根駅伝と並ぶ2大イベントだ。大学は1部(16校)と2部(それ以外の大学)に長短距離種目などの総合得点で振り分けられているが、長距離種目でのレベルの差は1部と2部の間にそれほどない。実際、青学が属する2部には今年の箱根駅伝に出場した20校のうち、駒沢大学(箱根駅伝3位)、中央学院大学(同9位)、帝京大学(同10位)など全8校が入っている。

 青学は昨年2部3位となり、惜しくも1部昇格を逃した。今年は1部昇格が目標のひとつになるが、原晋監督は関東インカレという大会の重要性についてこう語る。

「この時期、記録会は毎月ありますが、ガチンコ勝負ができるのは箱根駅伝とインカレだけ。それに記録会の長距離は涼しいナイタ-が多いですし、今日がダメでもまた次と切り替えられますけど、インカレは一発勝負。大きな会場でお客さんが入っている中、日中に走って他大学の選手に勝たないといけない。プレッシャ-に打ち勝ち、レ-スの駆け引きができないと勝てない。タイムの速さだけではなく、精神的な強さが求められるんです。

 もちろん部内でも参加標準記録(男子10000mは29分30秒)を超えて、かつ勝てる強い選手が選ばれます。今回で言えば一色、下田、中村は青山のエ-ス。チ-ムの屋台骨とも言える選手なので他大学と勝負して、『青山、強いな』というのを示す。タイムよりも勝負にこだわる大会ですね」

 関東インカレは誰もが出たい大会だが、誰もが簡単に出場できる大会ではない。1種目3名しか出場できないので青学のように実力者が多いチ-ムにとっては、インカレ出場は箱根駅伝同様にかなり狭き門であり、出場する選手たちは自分たちの大学の誇りを持って戦わなければならないのだ。

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