リオに挑む才媛ランナー・鈴木亜由子「チャンスは絶対ものにする」 (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi 村上庄吾●写真 photo by Murakami Shogo

 それでも僅かな差で8位入賞とリオ五輪内定を逃す結果は悔しかった。「練習でできたことが出せたというところでは満足したが、やっぱりあそこで9位に甘んじてしまったところは満足できない」という。

「プラスアルファの力を出せなかったというか……。あとで映像を見返しても、最後はまだいけそうな感じはしたし、トップスピードを出しているという感じでもなかったですから。多分あそこで切り換えができていたら8位になった選手に勝てていたと思うので悔しいですね」

 その原因については、「やっぱりスタミナをベースに作っていったので、疲れたところで走りを切り換えるという練習が不足していたのかなと思います。監督は『どれだけ疲れていてもラストスパートができる人はいるから、何か動きを変えるコツがある』と言いますが、私はまだそれがつかめていないというか。でも中学生時代はラストスパートが得意だったから、ちゃんと脚を作って、そういう質の高い練習ができれば、体も反応してくるようになると思います」と語り、改善点がしっかりと見えているようだ。

 世界の舞台で走ってみて、それまでは「決勝進出が精一杯かな」という思いが強かったが、入賞ならチャンスがあると感じた。

「私は今まで『五輪へ行きたい』と言ったことがないんです。軽々しく口にしてはいけないような気がしているんです。本当に努力して、本当に実力がある人でなければ言ってはいけないような気がしていて」という慎重な鈴木だが、段階を踏んだ上で出場した世界選手権で結果を出せたことで、自分もそこを目指せる選手ではないかと思えてきたという。

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