リオに挑む才媛ランナー・鈴木亜由子「チャンスは絶対ものにする」 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi 村上庄吾●写真 photo by Murakami Shogo

 中学2年で全国中学の800mと1500mで2冠を達成し、3年では3000mで中学歴代2位の9分10秒71をマークした鈴木。だがその経歴は異色だ。練習は学校の陸上部ではなく、小学生時代から入っていた近所の陸上クラブで続け、地元豊橋市の進学校として知られる県立時習館高校へ進んでも陸上はクラブで練習を続けた。

 高校時代は足の甲の疲労骨折を2度して手術を経験したこともあり、大学はマイペースで陸上に取り組めるからと国立の名古屋大学を選んだ。そして大学時代は2年と3年で日本学生5000mを連覇して、4年時にはユニバーシアード5000mで銀メダル、10000mで金メダルを獲得した。それでも当時の日本ランキングは5000mが7位で10000mは34位。ガツガツ陸上をやっている感じではなかった。

 名大を卒業した14年、その年に発足したばかりの日本郵政陸上部に入部。それからは練習量も増え、昨年は日本選手権3位で世界選手権5000m代表になり、本番の決勝では日本歴代5位の15分08秒29で9位に。さらに9月の全日本実業団でも10000mでリオデジャネイロ五輪参加標準記録を突破する31分48秒18で優勝し、日本のエースへと成長してきた。

「世界選手権は自分が思っている通りのレースができて、ちゃんと練習を積めて準備ができれば試合で結果が出るんだなとわかったレースでした。世界で戦うことによって『もう一度ああいう場で戦いたい』という思いも芽生えたし、もっと強くなりたいと思いました。それに、それまでは足が不安でレースでもスパイクを履けずアップシューズで走っていたけど、予選と決勝の2レースでスパイクを履いて走れたことは収穫でした。そこは自分の殻を破るためのひとつのステップだったので、あれは本当に大きかったと思います」

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