駅伝ランナーは春先に何をしているのか?『月報・青学陸上部』スタート

  • 佐藤 俊●取材・文 text by Sato Shun  photo by Kyodo News

 だからといって天狗にはならない。裸の王様になりがちな陸上競技部を"陸上"という狭いフィ-ルドだけではなく、広い視野で社会と向き合っていく姿勢を崩さず、選手一人ひとりの人間教育を怠らないところに青学の本当の強さがあるのだ。

 この日、10000mの競技会初レ-スとなった梶谷(29分27秒49)と小野田(29分59秒31)は30分を切るタイムを残したが、期待された秋山は31分50秒24と自己ベストから3分近くも遅れ、田村健も30分13秒73と自己ベストから1分遅れた。また、アシックス組も田村和が31分10秒73に終わるなどタイムが伸びず、全体的にはやや低調に終わった。

 ペースが上がらず、49位(50人中)に終わった秋山の足取りは重かった。

「2月の福岡クロカン(クロカン日本選手権)からペースがこんな感じで......。水分補給したり、血液検査をして万全を期しているつもりですけど、試合のペースに対応できていない。夏合宿までには治さないといけないですが、すごいプレッシャ-を感じています」

 そう語った秋山は、どうしたらいいのか分からないという風情だった。

 タイムが出た選手、思うように走れなかった選手と明暗が分かれた。4月は多くの選手がまだまだ本調子ではないし、箱根に向けてのスタ-トが始まったばかり。
 
 3連覇に向けて、今後はどうなるのか。秋山の調子は戻るのか。5月の関東インカレで、それぞれがどんなレ-スをするのか。 

 これから毎月、青山学院大学陸上競技部の箱根駅伝までのプロセスを極私的に描いていくつもりだ。

(つづく)

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